「女性らしさ、男性らしさよりも、重要なのは“自分らしさ”」(冨永愛)
ーあなたが今考える女らしさとは?
時代によって変化し、またどんな性別であったとしても持ち得るあるひとつの特性、と考えます。
ーここ数年の時代の流れとともに、ご自身が考える女らしさに何か変化はありましたか?
最近は女性らしさ、というように自分自身のことを考えなくなったように思います。あくまでも“自分らしく”が先に立ちます。もともとモデルという職業にとって、“らしさ”はとても重要なことだと思ってきました。それが男なのか女なのか、は特に関係なく、一個人としての「らしさ」という考え方です。ファッション業界には多様なジェンダーが存在し、10代から関わっ ている私はそれを自然と受け入れてきました。しかし、私は女性として生きているので、そもそも女性らしさを意識していないということなのかもしれません。しかし、女性らしくということを深く考えていけばいくほど、それが男性であっても持ち得るものだとも思います。つまりそれは人としての特徴という捉え方になってきているのかな、と。女性らしく、男性らしく……については矛盾も感じつつ、さまざまな議論がなされ、そのようにして話していくことが、新しい時代へと繋がると感じています。今は変化のときです。より一層多くの人たちの話を聞き、受け入れていくという作業が必要です。
ーあなたの考える男らしさとは?
男性らしさとは、女性よりも肉体的パワーの総量が多い、骨格や筋肉の形状、ヒゲが生えている、など。もちろんそうでない人もいますが、私の考える男らしさは特に変わっていないと思います。まぁ、これはほぼ私的な男性の好みになってしまうかもしれませんね。
ー身につけたとき、女らしいと感じるファッションアイテムは?
ルブタンの13センチハイヒール。普段は履きませんが、仕事などで履くと背筋も伸び、お尻もキュッと上がり、「あぁ女だな!」と感じます。
ーあなたの憧れの女性を教えてください
山口小夜子さんなど、リスペクトする人はいますが、デビュー当初から憧れている人はいません。同じ業種のすべての人を超えるべき対象として見てきたからかもしれません。
Ai Tominaga
冨永愛/モデル
https://www.instagram.com/ai_tominaga_official/?hl=ja
17歳でNYコレクションにてデビュー。以後、世界の第一線でトップモデルとして活躍を続ける。モデルの他、テレビ、ラジオ、イベントのパーソナリティ、女優など様々な分野にも精力的に挑戦。日本人として唯一無二のキャリアを持つスーパーモデルとして、チャリティ・社会貢献活動や日本の伝統文化を国内外に伝える活動など、その活躍の場をクリエイティブに広げている。
「引き算をしていくこと、自分を肯定していくこと、周りを愛していくことに美しさを感じる」(三吉彩花)
ーあなたが今考える女性らしさとは
女性らしさも男性らしさも、その人らしさだと思います。生き方であったり受け入れ方であったり自分の中にある芯の強さを感じられたときに、その人への美しさを感じます。
ーここ数年の時代の流れとともに、ご自身が考える女らしさに何か変化はありましたか?
前までは着飾ったりメイクを楽しんだり、足し算していくことが楽しくて美しいと感じていたときが私にもありました。今は引き算をしていくこと、自分を肯定していくこと、周りを愛していくことに美しさを感じます。そしてきっといつか経験していくであろう結婚や母になるということへの希望や楽しみたい気持ちも、年齢を重ねるにつれ変化してきた部分かと思います。
ーあなたの考える男らしさとは?
私にも男性らしさはありますし、女性らしさもあります。とても個人的な考えではありますが、私の友人たちには男性の方がより繊細で色々なことに敏感でキャッチしてくれる方が多いです。なのでリードしてくれる頼もしさにも"男性らしさ"を感じますし、エスコートや細やかな気遣いを大切にしていることにも"男性らしさ"を感じます。みんなそれぞれが優しい"男性らしさ"を持っていて素敵だと思います。
ー身につけたとき女らしいと感じるファッションアイテムは?
バレンシアガのドレス。ブランドとしても長年憧れを抱いてきました。昔から黒や赤や青など一見ハッキリとした色合いに見えて実は何十も何百もの色のディテールがある色が好きで、まさにその象徴のように感じています。シンプルであり、着たときにフィットする感覚や背筋が伸びる感覚はずっと忘れられないです。
ーーあなたの憧れの女性を教えてください
シンプルですがオーラのある人。その人々によってオーラのジャンルはさまざまで周りを華やかにしてくれる方や凛としたクールな方、圧倒させるような凄みのある方などに憧れます。そういった方々はヴィジュアルが素敵というだけではなく、生き方や物事の捉え方などもおおらかであり、受け入れる心と自身が何かを発信していく意志を感じます。
Ayaka Miyoshi
三吉彩花/俳優、モデル
https://www.instagram.com/miyoshi.aa/
雑誌『Seventeen』の人気モデルとして活動後、数々のファッション誌やランウェイに登場。近年では、Netflix「今際の国のアリス」、prime videoにて日韓共作映画「ナックルガール」主演など、俳優として話題作に出演。2021年には映画監督に初挑戦。短編映画製作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」の「inside you」を手掛ける。海外ブランドのショー出演、また中華圏でのCM出演やSNS活動を行い、日本のみならず、世界でも活躍する。
「知性の代表として、哲学者のハンナ・アーレントはリスペクトしています」(北村道子)
ーあなたが今考える女らしさとは?
知性を持っている人。
ーここ数年の時代の流れとともに、ご自身が考える女らしさに何か変化はありましたか?
電車で見かける女性の品が失われてきている。
ーあなたの考える男らしさとは?
政治に対してディベートできることと、全体主義にならずスタイルをもっている人。
ー身につけたとき女らしいと感じるファッションアイテムは?
ありません。
ーあなたの憧れの女性を教えてください
憧れ、アイコンは持ったことがありませんし、今後も持たないです。知性の代表として哲学者のハンナ・アーレントはリスペクトしていますので、彼女の本を今読むことをおすすめします。
Michiko Kitamura
北村道子/スタイリスト
雑誌や広告、映画などさまざまな媒体で、スタイリングや衣裳制作を担当。2007年には『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』の衣裳で第62回毎日映画コンクール技術賞を受賞。70歳を過ぎた今も現役で活躍し、ファッション業界、エンターテインメント界にも多くのファンをもつ伝説的存在。
Coordination: Tomomi Hata
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